坐骨神経痛のさまざまな原因

坐骨神経痛とは、一般的に、腰、お尻(臀部)から足にかけて痺れや痛みの症状を総称したものです。
坐骨神経痛の症状は同じように見えても、痛みを引き起こす原因はさまざまです。当然、原因が何であるかによって治療法も違ってきますので、まずは、坐骨神経痛の原因となる部分が腰椎、お尻の筋肉、太ももの筋肉のどの部分なのかを検査して調べます。

坐骨神経痛の原因には、背骨、筋肉、内臓によるものがあります。たとえば、
*椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など整形外科の疾患
*大腰筋など腰部筋肉の緊張・梨状筋症候群(お尻の筋肉の緊張)によるもの
*婦人科疾患(子宮筋腫など)
*糖尿病・バージャー病・腫瘍・動脈硬化など内科的なもの
など、です。

坐骨神経痛の主な原因

坐骨神経痛の原因となる主な疾患には次のようなものがあります。

○背骨関連
これらは背骨に異常があるため、椎間板や変形した骨が坐骨神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。
(1)椎間板ヘルニア
背骨は、椎体という骨によって構成されており、椎体と椎体の間には、椎間板という軟骨がありクッションの働きをしています。この椎間板が突出してしまうのが椎間板ヘルニア。これが腰部の椎間板で起こると、神経を圧迫し坐骨神経痛を引き起こします。特に長時間にわたって中腰や前屈姿勢を続けたり、急に重たいものを持ち上げたりしたときに発症します。

(2)腰部脊柱管狭窄症   
背骨の中央には、脊柱管、脊髄とそれに続く神経(馬尾神経)が通っています。この脊柱管が狭くなるのが脊柱管狭窄症。これが腰のあたりで発症するのが腰部脊柱管狭窄症です。 多くの場合は、加齢によって腰椎が変化し、脊柱管が狭くなることで発症します。
 
(3)変形性腰椎症  
腰椎の形が変形し、神経を圧迫してしまうために腰に痛みや足のしびれを起こすものです。 加齢が原因であることが多いのですが、長時間同じ姿勢を続けたり、腰に過度の負担をかけることでも発症します。また、腰椎分離症、梨状筋症候群、外傷による圧迫、帯状疱疹、カリエス、脊髄・骨盤内の腫瘍、糖尿病、アルコール依存症、喫煙、ストレスなどが原因で発症する場合もあります。
さらに、変形性腰椎症は脊柱管狭窄症の原因にもなります。

(4) 腰椎分離すべり症、腰椎変性すべり症
背骨の後方にある椎弓の一部に亀裂骨折が起こり(腰椎分離症)、分離してしまって下の腰椎に対して上の腰椎が前にずれてしまった状態を「腰椎分離すべり症」といいます。 これに対して、椎間板や椎間関節の老化変性が原因で腰椎が前方にずれたのが「腰椎変性すべり症」。 腰椎分離すべり症は若いスポーツマンに多く、腰椎変性すべり症は女性に多くみられる傾向があります。

○筋肉関連
坐骨神経痛の痛みやしびれがあるのに骨には異常が見られない場合、激痛がお尻〜太もも〜ふくらはぎ〜足首と広範囲に及ぶ場合、筋肉関連が原因である場合が多いものです。筋肉関連が原因の坐骨神経痛は、鍼灸で治るケースが多くあります。

(1)大腰筋が原因
大腰筋は、腰椎の上から大腿骨前上部に着いています。そのため、大腰筋が原因である坐骨神経痛の場合は、背中をそらす動作(つまり大腰筋を伸ばす動作)をすると痛みがある場合が多く、座っている姿勢から 立ち上がる時に痛みが出ます。椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、慢性腰痛などもその根本原因は大腰筋に問題があるというケースが多いです。 急激な運動や負荷、長時間の車の運転、スポーツ外傷などによって大腰筋を痛めてしまいます。

(2)梨状筋が原因(梨状筋症候群)
梨状筋(なしじょうきん)とは、はお尻の奥のほうに位置し、仙骨(お尻の真ん中、尾てい骨に連なる骨)から、足の付け根にかけてついているもので、股関節を制御し、足先を外に向けさせる働きを担っています。この筋が過度の緊張状態や炎症を起こすと、梨状筋の下を通る坐骨神経を圧迫するため、痛みやしびれが出ます。緊張状態や炎症となるのは、臀部打撲や股関節捻挫、ぎっくり腰から腰痛が慢性化した場合、スポーツや仕事などでストレスが加わったりした場合、が考えられます。

病院で坐骨神経痛の治療を受けても、なかなか症状が改善しないのはこのケースが多く、初期診断ではヘルニアとされていたのが実は梨状筋症候群であったということがあります。

○内臓関連
まれなのですが、糖尿病・動脈硬化・腫瘍・など内臓の問題で発症することがあります。
骨盤内腫瘍や脊髄腫瘍といった腫瘍が原因で坐骨神経痛を発症する場合は、その痛みが非常に強くでます。

簡単に原因を調べる方法(背骨原因の坐骨神経痛の判断)

お尻や足に痛みやしびれが続き、坐骨神経痛の疑いがある場合、背骨関連のどの原因の坐骨神経痛なのかを自分で簡単に調べてみることができます。

まず、平らな床の上に立ちます。
次に、上半身を前後に倒してみます。ゆっくりと行ってください。立ったままでゆっくり前屈と上体反らしをします。このとき、どこで痛みやしびれが起こるかを感じ取ります。(痛みの部分を無理にたたいたり、押したりしない方がいいです)

さて、痛みやしびれが強くなるのは、どの場合だったでしょうか?
・上半身を後ろにそらしたときに痛みやしびれが強くなる
   ⇒⇒⇒⇒⇒ 脊柱管狭窄症が原因の可能性大
・逆に上半身を前に倒したときに痛みやしびれが強くなる
   ⇒⇒⇒⇒⇒ 椎間板ヘルニアが原因の可能性大
・上半身を前に倒しても後ろにそらしても痛みやしびれが強くなる
   ⇒⇒⇒⇒⇒ 狭窄症とヘルニアを併発している可能性大

【注意】
腰、お尻、足に痛みを感じる病気は坐骨神経痛以外にもあります。「これはよくある坐骨神経痛の痛みだ」と思っていても、実は根本原因は、閉塞性動脈硬化症だったり、足の血管が詰まるバージャー病だったり、背骨の圧迫骨折だったり、子宮がんや前立腺がんが原因だったりすることもあるのです。素人判断で腰・お尻・足の痛みは坐骨神経痛だ、と決めつけないで、痛みを感じたら早めに専門医を受診し、原因をきちんと調べてもらいましょう。上記の判断方法は、あくまでも参考程度です。

年齢による坐骨神経痛の原因の違い

坐骨神経痛の原因はさまざまですが、年齢によってその傾向が異なります。 若い人の場合、最も多いのは、腰椎椎間板ヘルニア、次に梨状筋症候群です。

一方、高齢者の場合、変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症などの変形疾患が多くなります。また帯状疱疹(ヘルペス)により坐骨神経痛を発症する場合もあります。

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